日頃の練習の成果を出せるピアノの発表会。
晴れの舞台のはずなのに、心臓が飛び出そうなほどの緊張をしてしまう方もいるはずです。
筆者は、音楽大学でピアノを学びましたが、小中学生のころは、必ずと言っていいほど「本番で止まってしまう」生徒でした。
なぜ、本番では普段の力が出せないのでしょうか。
今回は発表会の緊張を乗り越える方法と、緊張しても最後まで弾ききる為の準備についてお伝えいたします。
目次
子どもより大人の方が緊張する
無垢なお子さんが、舞台でニコニコと演奏を楽しめるのは、失敗しても何も失うものがないからです。
うまく弾けなくて両親をがっかりさせたり、内心お友達に負けたなどと思ったりする気持ちを想像しないので、その場限りの舞台でのびのびと演奏できるのです。
しかし大人になるにつれ、あれこれ色んな事を考えてしまいます。
「たくさんのお客さんの前で恥をかきたくない、、、」
「練習の成果をしっかり見せたい!」
「自分が1番下手だったらどうしよう。。。」
失敗の恐怖や緊張と戦うのは、容易ではありません。
もういっその事、緊張するのは仕方がないと割り切ってしまい緊張しても
緊張しても弾き切る為に練習を多角的に行う
また、ピアノという楽器は、自宅で練習してきたピアノとはまったくちがう、会場にあるピアノで演奏しなければならないという、大きなハードルがあります。
こういった楽器は、他にはあまりありません。
つまり、いくら自宅のピアノで納得のいく演奏が出来ても、本番では全く別の音楽を作るのだ、という気持ちが必要です。
そのためには、いろいろなアプローチで練習しておくことが重要ですのでオススメの練習方法をお伝えします。
もの凄くゆっくり弾く練習をしておく
発表会の1ヶ月ほど前から、表現や強弱などは一切無視して、鍵盤だけを見つめながらゆーっくりと1音ずつ、踏みしめながら弾く練習をしてみましょう。
以外に難しいのですが、普段のスピードで弾けばスラスラ弾けるものが、もの凄くゆっくりと弾くと意外にミスをします。
ゆっくり、ゆっくりと弾いて鍵盤の位置を体に叩き込むことによって、緊張して楽譜が飛んでしまっても最悪酷い事になりずらくなります。
[box04 title=”ゆっくり弾くポイント”]
・とにかくゆっくり弾く!
・今どの鍵盤を弾いているのか?を確認しながら弾く
・スピードが早くならないように調整する
[/box04]
できるだけドレミで歌えるようにしておく
ゆっくり練習と同時にやると効果的です。
最後まで曲を歌いながら弾きとおすことをお勧めします。
左手が一部分抜けたことによって、メロディまで止まってしまう、ということを防ぐためです。
小さなミスを気にするよりも、曲が流れていることがなにより重要であり、音楽を止めてはいけません。
・手の動き
・口での歌
・音名での対応
どれかが崩れても、他の要素で記憶を留めておけるようにしておくという事です。
普段と違うピアノでも弾いておく
発表会で弾くピアノは自宅とは違うピアノです。
自宅ピアノとのタッチの違いや緊張することにより、記憶していたはずの楽譜がいとも簡単に崩れていってしまうことがあります。
電子ピアノ、アップライトピアノ、グランドピアノ、共に弾いた時のタッチ感が違います。
また、グランドピアノでも違うグランドピアノを弾いてみたら微妙にタッチ感が違います。
その為、色んなタッチ感に慣れておいた方が本番で戸惑う事がなくなり安心です。
特に、普段電子ピアノで練習してる方にはオススメです。
発表会の1ヶ月ほど前から、公民館や近くの楽器店などでピアノ貸出しサービスをやっている所を見つけて色々なピアノで練習しておくと安心です。
自主リハーサルをやっておく
つまりイメージトレーニングです。
本番の発表会のつもりで観客がいるつもりでイメージしながら弾いてみましょう。
その時、動画などで録画しておくと緊張が高まります。
今はスマホなどに動画機能が付いていますので、身近なもので録画しておきましょう。
その時、本番のつもりで弾くので、つっかえても止まらず最後まで弾き切るように意識しましょう。
録画した動画も自分を客観的に見れるので役に立ちます。
注意点はやりすぎないこと。
何回もやると緊張感が薄れるので、1日1回程度に収めておきましょう。
身体の変化を予想しておく
練習ではありませんが、緊張してくると、指先などの末端が冷えていきます。
血流が良くないと、当然指の動きも悪くなります。
冬の寒さだけではなく、夏の冷房も効いてくることがありますね。
外気に関わらず、薄手の手袋を用意して、直前まで温めておくといいですよ。
危ない部分は、失敗するほうが多いという事実
5分5分で、うまく弾けるときと失敗するときがある、というぐらいの仕上げ度ですと、残念ながら、失敗する確率はかなり高いです。
少しでも不安な部分、頭の中ですっきり整理されていないフレーズは、運に任せて通りすぎずに、まずはしっかり把握します。
小さい付箋などを楽譜に貼ってマークしておき、部分練習を重ねましょう。
危なっかしい部分こそ、ゆっくり音を確かめながら練習することで、頭の中に鮮明に音が入っていきます。
私たちは、危険を感じる部分ほど、早く通り過ぎたくて無意識に弾き飛ばすことがありますので注意しましょう。
正直なところ、場数も必要
今の時代、YouTubeなどでは、小さな子どもたちでもプロ並みの演奏をしている動画を見かけます。
しかし、こういった動画に出てくるお子さんは、コンクールや公開レッスンなどで、同じ曲を何度も演奏し、完全に自分のものにしているケースが多いです。
さまざまなピアノや、いろいろな会場とお客さんに慣れているので、自宅で弾いた感触と本番の感触が違うと思ったとき、臨機応変に微調整しながら大事故を起こさずに演奏することができるのです。
これは、練習量とは別の部分の経験によっています。
プロのピアニストも、たくさんの舞台を経験することによって、その場に合った自分の演奏をプロデュースしていけるようになったと言えます。
経験の浅い私たちが発表会で失敗してしまうというのは、実はとても自然なことなのですね。
緊張と正面から向き合う良い方法は、なぜここで演奏しようとしているのかをしっかり頭の中で考えるといいです。
それでも届く音楽というのがある
ミスしたにも関わらず、聴いている人の心に届く演奏というものが確かにあります。
実はプロピアニストでも、自分の力の6割くらいしか出せなかった、という感想を持っているものなのです。
自分の演奏の一部しか出せなかったのにそれでも人に感動が伝わるというのは、聴いている人のイマジネーション、「心」を刺激したからなのです。
演奏を聴いてもらい、いかに相手のイマジネーションを刺激する。
それはつまり、演奏者がどれだけホスピタリティを持って演奏しているかということにかかってくるのです。
これは、アマチュアのピアニストでも大事にしていきたい精神であり、緊張を乗り越える特効薬であるように感じています。
まとめ
ピアノという、ホール設置型の楽器の発表会は、自宅での練習とは違う緊張をともなうことは当たり前ですし、仕方がない事です。
数多い舞台の経験があってこそ、臨機応変な演奏をすることができるので、当日までできるかぎりの用意をしたのなら、本番ではあまり失敗を恐れすぎないようにしたいですね。
最後に決め手となるのは、聴き手のイマジネーションを刺激する、ホスピタリティ溢れる音楽の心です。
想いを音楽に乗せて、素敵な発表会になるよう応援しています!
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