『ハノンピアノ教本』は、ピアノを習ったことがある人なら誰もが1度は聞いたり弾いたりしたことがあるのではないでしょうか。
19世紀前半にフランスの作曲家ハノンが書いた指のトレーニングの本です。
「5本の指を平均にトレーニングすれば、ピアノのために書かれた本はすべて弾くことが可能になるはずである」と考えたハノンは『ハノンピアノ教本』を書き上げ、各国で大反響となりました。
現在でもピアノ練習のバイブルとして広く使われているハノンですが、使い続けるにあたってどんな効果が期待できるのかお伝えします。
ハノンの目的
ハノンはこの教本の目的として以下を定めました
①指を動きやすくする
②指をそれぞれ独立させる
③指の力をつける
④つぶをそろえる
⑤手首を柔らかくする
⑥左手が右手と同じように自由になる
つまり5本の指をそれぞれ独立させて鍛え、よい演奏をするための準備をするために作られたのですね。
ではその目的をもって実際に弾いてみると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ハノンのメリット
目的意識をもってハノンを練習すると、5本の指を効果的にトレーニングすることができます。
それがハノンを使う上で最も重要視されていることですが、その他にもこの教本が広く使われている理由があります。
①同じ音型を用いて上行や下行をするため覚えやすく、指の動きに集中することができる
②音階やアルペジオなどでは調についても学ぶことができ、音階の指使いや調の和音についても覚えることができる
③半音階やオクターブなど、特殊な弾き方についても集中的にトレーニングすることができる
こうしてみるとピアノを弾くうえで必要なテクニックや知識など、様々なことが学べる教本だということがわかりますね。
特に1番から20番の練習では薬指や小指などの弱い指を重点的に鍛えることができるので、弾きにくいと感じるものは繰り返し練習するといいでしょう。
ハノンのデメリット
前項でお話しした通り、ハノンをきちんと練習すると5本の指がまんべんなく動かせるようになります。
調の仕組みや音階の指使いなども覚えることができるため、色々な曲を弾くうえでとても助けになることがわかりました。
しかしそんなハノンにもデメリットがあります。
①単調でつまらない
メロディーもなくただ機械的に指を動かし続けることは、子供はもちろんのこと大人であっても苦痛を感じるかもしれません。
何のためにやるのか、この練習をしたらこれができるようになるということをよく考え、イメージしながら弾くようにしましょう。
特に教本には「何番から何番までを毎日何回ずつ繰り返し弾きなさい」などと指示が書いてある場合があります。
ですが、それらをすべてやり遂げるにはかなりの時間を要するので逆に集中力を欠いてしまう原因にもなります。
自分のできる範囲で続けることが大切です。
②弾き方が音楽的でなくなりがち
メロディーがなく機械的に弾き続けることで、ハノン以外の曲を弾く際にも機械的になってしまわないように気をつけなければいけません。
ハノン以外の曲も同時に練習をし、テクニックと表現力を総合的に身につけましょう。
まとめ
ハノンはスポーツでいうと準備運動や筋トレに当たります。
すぐに結果は出ないけど、毎日コツコツ練習を続けていたら、いつの間にか力がついていたと気づくこと思います。
大事なのはハノンを弾くことによって何ができるようになるのか分かっておくことです。
そうすれば練習に意味ができ、効果的に指のトレーニングができるはずです。
その後、曲を演奏するときには前より指が軽やかに動くことにびっくりするかもしれませんよ!
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