ミスタッチの原因は、音楽に対する集中力の不足にあります。
具体的には、聴く力、見る力、手を動かす力の3つの要素の不足から生じます。
それを踏まえて練習していけば、ゆっくりでも克服できるようになるでしょう。
筆者もミスタッチにはさんざん苦しみましたし、現在もあれこれと苦しんでいるばかりなので、今回の記事は、まず自分に向けて書くような気持ちで、時系列で書いていきたいと思います。
聴く力の不足
最近の楽器の学習では、模範演奏を聴くということもだいぶ増えてきており、ピアノでもCDつきの練習曲集を普通に見かけるようになりました。
模範演奏を聴いてから、ピアノを弾くという過程の中でミスタッチが起こるとすれば、まず、聴き込みが足りないのではないかと考えます。
ミスがあってもミスと思わない、ということがあれば重大なことです。
その重大なことを案外やってしまっているので厄介です。
特に、モノフォニーの音楽(1つのメロディが続いている音楽)では、同じ和音におさまってしまえば、ミスであってもさほど目立たないので、思い込みで覚えてしまうことも。
ミスをする場所の楽譜に、しっかりと印をつけて、誤って覚えてしまった刷り込みを消していきましょう。
指使いが校訂などで指定されていたとしたら、基本的には従うようにするといいです。
見る力の不足
ミスタッチが多く出る、あるいは発覚した場所を弾くときには、
絶対に該当の場所の手に集中するようにします。
ミスタッチがなくなるように、目と耳の両方で確認をしていくわけです。
その部分だけ取り出して弾いて、目と耳に同時に覚えさせることが重要です。
少しゆっくりから始めて、インテンポにもっていけるようにしましょう。
そのためには、少なくとも周囲の数小節は、暗譜する前の時点で、楽譜をなんとなく記憶しておいて、ミスタッチの起こる場所に集中しましょう。
人間にとって、目からの刺激のほうが、耳からの刺激よりもずっと具体的に入ってきます。
しっかり「こう弾くんだよ」と手を見てあげることが必要です。
楽譜と手、ふたつの対象を一気に見なければいけないので、慣れるまでは大変かもしれません。
ただ、ミスタッチにだけこだわりすぎないようする必要もあります。
楽曲全体を弾きとおすためのミスタッチ修正なので、本末転倒にならないように気をつけましょう!
手を動かす力の不足
練習を重ねると、楽曲が自分の手や頭と一体化するようになってきます
それでもミスタッチをする場合は、楽曲を弾くのが楽しくて、とにかく通して弾こう!
という気持ちが先に立ってしまうからの可能性があります。
この場合はもう一度、「聞く力」と「見る力」のプロセスに立ちもどりましょう。
特に、手が小さい方は、「手」のプロセスはとても大事なものです。
ミスタッチの該当箇所を、あらためて弾き込みましょう。
ここまでくれば、楽曲の中でこのミスタッチの箇所がどんな役割を果たしているかなど、ある程度理解が進んでいると思います。
それでもミスする。でも諦めずに手を動かしましょう!
何度もミスをすると嫌になってきますが、諦めず、もう一度、ゆっくりから始めてもいいと思います。
「聞く力」と「見る力」の過程でうまくいったのに、調子に乗って全部通したらできなくなることもあります。
根気をもって取り組むしかありません。
でも、そうやって悩みながらできてきたものこそが、たったひとりのオリジナルな表現につながってくるのです。
ミスタッチの修正がうまくいけば、ピアノを弾く人、ひとりひとりの思いや表現したいことが、より強く伝わってくるはずなのです。
もう一度、模範演奏を聴いてみて、「あそこでミスしていたんだな」ということが確認できると思います。
これは「聞く力」の過程のおさらいです。
楽譜を見ながら模範演奏を聴いて、「見る力」の過程をおさらいします。
そして、楽譜を見ながら鍵盤の上の手に集中して弾いていきましょう。
動画を参考にするときは気をつけて
DVDやブルーレイ、あるいはYouTubeなどの動画サイトが利用できるなら、そこからピアニストの指使いを盗んでもよいと思います。
この場合、あくまで自分に合ったものを選ぶことが必要です。
例えば、巨大な手の男性ピアニストの動画は、全くあてにならないことが多いです。
自分と似た人を探して、参考にするといいです。
独学でない場合は、レスナーの先生にアドバイスを仰ぐのも、もちろんありです。
まとめ
ミスタッチのになるきっかけは以下のように考えています。
「聴き覚えて間違って覚えること」
「弾いている手を見ないこと」
「弾けるようになったと思い違いをして雑になること」
いずれも注意深くやればすれば克服出来ます。
長い時間でなくてもいいので、毎日弾くと事がやはり重要になります。
「面白くない作業」ではありますが、だんだんできるようになってくるはずですので、とにかく継続したがんばりましょう!
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